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2025.12.10

米国

外国特許実務

米国における最近のアップデート

1)審査官の業務評価計画の変更(2026年度 (2025/10/1-2026/9/30)

USPTOは、審査官の業務評価計画(Performance Appraisal Plan, PAP)を2025会計年度(FY 2026)向けに改訂しました。

その中で影響が特に大きそうな【審査官面接(Interview)対応時間の制限】について言及します。
審査官面接(Interview)対応時間の制限
これまでは、審査官との面接は柔軟に実施されてきましたが、これが大幅に制限されることになりました。
従来:1回の面接当たり1時間
→改定後:1回の審査ラウンド(prosecution round)当たり1時間
*審査ラウンド:出願からRCEまで、RCEから次のRCEまで、等

上限を超える面接を行う場合には、上司(supervisory patent examiner)の承認が必要となります。
これにより、面接に掛けられる時間や面接の機会自体が減ることが懸念されるため、審査官面接に際しては、事前の準備がより重要になってくるかもしれません。

注意点

なお、当該改訂内容は、USPTOからの正式なリリースは無く、USPTOから審査官に対してメールで通知されたものとのことで、USPTO公式によるPAP全文または最終版の公表は確認できていません。

米国代理人から、現時点では、変更があったという印象は受けない、との話も聞いています。従って、実務対応上は、今後の発表・実務運用の変化に注視する必要があります。

 

2)Streamlined Claim Set Pilot Program

USPTO が2025 に導入した新パイロット制度で、「審査前に、簡略化したクレームセットを任意で提出する」ことで、初回審査を効率化する試みです。

 

対象出願:

35 U.S.C. 111(a) に基づく米国直接出願、かつ、2025年10月27日以前に出願されたもの

*PCT経由の国内段階移行出願(371出願)やContinuation/CIP/Divisional出願が対象外となるため、日本からの利用は極めて限られます。

 

受付期間

2025年10月27日から2026年10月27日まで(または各技術センターで約200件の出願が受理されるまで)。

*同一発明者が、同時期に参加できるのは3件まで、という参加数制限があります。

 

費用:

なし

 

クレーム要件

    1.独立クレームは 1 つのみ
    2.総クレーム数は 10 以下
    3.多項従属クレーム(マルチクレーム)は不可

    初回審査後に、元のクレームセットに戻すことは可能ですが、それにより限定要求等を受けるのかは不明です。

     

     注意点

    ・どの程度、審査が迅速化されるかという点については、明示されていません。

    *審査効率が改善され、初回審査が早くなる可能性がある、という言及のみです。

     

    3)Artificial Intelligence Search Automated Pilot Program (「ASAP!」プログラム)

    USPTOが20251020日より導入した新パイロット制度で、出願人からの申請に基づき、審査官による本審査の前に、USPTOの内部AIを利用した自動先行技術調査を実施する試みです。

    出願人に対し、「注意すべき先行技術に関するトップ10リストを示す初期通知(AIによる検索結果通知(ASRN-Automated Search Results Notice))」を提供します。

     

    対象出願:

    35 U.S.C. 111(a) に基づく米国直接出願、かつ、20251020日から2026420日の間に出願されたもの

    *PCT経由の国内段階移行出願(371出願)やContinuation/CIP/Divisional出願は対象外となるため、日本からの利用は極めて限られます。

     

    受付期間

    2025年10月20日から2026年4月20日

    但し、各審査技術部門(Technology Center)が200件の ASRN 発行を達成するまで(少なくとも、全体で計1,600件の出願を対象としている。必要に応じて延長または適用範囲拡大も検討する)。

     

    費用

    large:$450 / small$180 / micro entity$90

     

    効果:

    提供されたリストに記載の文献を検証することで、以下の対応を検討することが可能になります。

    -予備補正の提出

    -宣誓書実務やUSPTOによる通知に備えた証拠の準備

    -審査の延期申請

    -早期に権利化を断念し、庁費用返還を受ける

     

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