TELでのお問い合わせ

06-6398-3535

受付時間 09:00〜17:00

〒532-0003
大阪市淀川区宮原3-5-36
新大阪トラストタワー5F
TEL:06-6398-3535
FAX:06-6398-3536

弁理士法人WisePlusの最新情報をお届け Topics

2022.10.26

外国特許実務

ヨーロッパ

【ヨーロッパ】欧州単一特許制度の開始について

ヨーロッパにおいて何年にもわたって議論が続けられてきた欧州単一(統一)特許制度が遂に運用開始となる見込みです。同制度開始のためには、統一特許裁判所協定(UPCA)の発効が必要であり、ドイツが協定の批准書を寄託することにより、その4か月後の初日(1日)に発効となります。

 

<欧州単一特許制度はいつ頃開始となる?>
最新の公式な発表によると、2022年12月にドイツが批准の手続を完了し、2023年4月1日に協定発効・制度の運用開始となる予定です。

 

<単一効特許及びそのメリットとは>
従来型のヨーロッパ特許(各国それぞれにおいて有効な特許の束)の他に、UPCA批准国(発効時17か国)の領域全てにおいて有効となる不可分の一つの特許を取得するという選択が可能となります。
単一効特許を取得することにより、維持年金の削減、特許の譲渡やライセンス登録等の手続・管理の簡便化等のメリットがあります。

 

<統一特許裁判所(UPC)とは?>
単一効特許及び全ての従来型特許について、有効性・侵害の有無を争うために設立される裁判所です。この裁判所管轄となることによる権利者側の大きなリスクとして、一つの無効判決で、批准国全てにおいて権利を失う(いわゆるセントラルアタック)可能性があることがあります。

 

<現時点で考えるべきこと、今後取りうる方針は?>
単一効特許の主なメリットとして、維持年金に係るコストが削減できるということがありますが、批准国(英国、スペイン等は含まれない)のうちおおむね4か国以上の国で権利化を行う場合でないと、その利益を享受できません。また、単一効特許は全てUPCの管轄となりますが、裁判官の質、及び、判例の方向性が未知であることから、まずはこれまで通り従来型の特許を取得することが考えられます。

但し、従来型特許であってもUPCの管轄になることには注意が必要です。セントラルアタックのリスクを確実に避けるためには、サンライズ期間(協定発効前の3カ月間)中にUPCの管轄から除外する手続(オプトアウト申請)をする必要があります。オプトアウト申請手続を行うことにより、その特許は、各国裁判所の専属管轄となります。これは、既に取得済の従来型特許にも当てはまります。

 


従って、少なくとも制度の開始・運用後しばらくは、
・従来型特許を取得することを原則とする
・既に取得済の特許やこれから取得する特許について、可能な時期(サンライズ期間~本制度の移行期間満了まで)にオプトアウトしておく
ことの2点が、現時点で考えられる中では、比較的安全な方針であると言えます。

弊所では、本制度に関して、現地代理人発行の資料の読み合わせやレクチャーへの参加等を行い、常にその動向を注視しております。本制度について、ご不明点やご質問がございます場合は、お気軽に弊所までお問い合わせ下さい。もちろん、進んで単一効特許を取得することを希望される場合も、お知らせ戴ければ喜んでお手伝いさせて戴きます。

BACK
NEXT