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2023.04.05
日本特許実務
【日本】特許権等の権利回復救済措置の基準緩和
(2023.4.5追記)
回復手数料について追記しました。
令和5年(2023)年4月1日施行の特許法改正により、特許権等の権利が消滅した場合の権利回復の判断基準が「正当な理由があること」から「故意によるものではないこと」へと緩和されます。
1.対象となる手続き
今回の改正の対象となる特許法・実用新案法上の手続きは以下の通りです。
特許法による手続 | 実用新案法による手続 |
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意匠法による手続 | 商標法による手続 |
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特許法による手続 | 実用新案法による手続 |
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意匠法による手続 | 商標法による手続 |
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2.手数料
制度の濫用を防ぐとともに、手続期間遵守を促すために、回復申請には一定の手数料が必要となります。特許の場合は、212,100円です。(災害などの場合には免除)
※特許庁の産業財産権関係料金一覧が更新され、回復手数料が追記されました。(2023.4.3更新)
https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/hyou.html
3.背景
現行の制度では、権利回復の認容率が諸外国に比べ、日本は極めて低く*、その判断基準が厳しすぎるとの指摘がありました。また、証拠書類の提出が必須となっていることから、出願人の立証負担が大きいことも課題とされていました。
(*欧州(EPO)での認容率は60~70%、フランスは約80%、米国は90~95%であるのに対して、日本での認容率は10~20%)
出典:【参考資料5】権利回復制度の見直し 令和3年1月18日 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/isho_shoi/document/12-shiryou/11.pdf
そこで、今回の改正法により、権利回復の判断基準が「故意によるものではないこと」へと緩和され、救済の幅が大きく広がることとなりました。