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2023.03.14

外国特許実務

PCT

【PCT】優先期間を徒過した国際出願の優先権の回復(日本国特許庁を受理官庁とするケース)

2023年41日以降に優先権主張の基礎となる出願の日から12カ月を徒過して行う国際出願について、優先権の回復請求を受理官庁である日本国特許庁に提出する場合、優先権の回復制度の要件が「相当な注意」基準から「故意ではない」基準に緩和される予定です。

これにより、これまで優先期限を逃してしまっていたようなケースであっても、救済の対象になる可能性が広がることになりました。

 

【注意点!】

1)最先の出願日が、2022331日以前の出願を優先権主張の基礎とする場合は、従来どおり、「相当な注意」基準が適用されます。

 

2)「故意ではない」要件として、出願人が意図的に国際出願を優先期間内に行わなかったものではなく、優先期間内に出願する意思を継続的に有していたことが要求されるため、回復請求書/理由書に記載する優先期間内に国際出願がされなかった理由として、「一度断念した」等の文言は避けた方が良いでしょう。

 

3)「故意ではない」基準で優先権の主張を回復した国際出願を「相当な注意」基準の指定国へ移行する場合、当該指定官庁にて追加で手続を行わなければ優先権の主張はできません。

*日本は、「相当な注意」基準から、「故意ではない」基準へと緩和されるため、「相当な注意」基準の国へ移行する際に、別途、指定国の基準に沿った回復請求を行う必要があります。

*「相当な注意」基準の国への移行を予定している場合には、選択肢の一つとして、WIPO等の「故意ではない」基準及び「相当な注意」基準を採用している受理官庁に出願することを検討しても良いかもしれません。

 

各国の基準については、WIPOのサイト一覧が記載されています。

*国際出願の受理官庁としての基準と、指定官庁としての基準が分かれている国があるため注意が必要です。

 

主要国の指定官庁としての基準は、下記のとおりです。

米国:「故意ではない」基準

欧州:「相当な注意」基準

韓国:いずれの基準でも回復は不可能

中国:いずれの基準でも回復は不可能

*現在、「中国特許審査指南の改正案」が公表されており、優先権主張の回復制度が新設される見込みです。

 

 

 

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