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2023.09.01
米国
外国特許実務
PCT出願から米国に移行する手続について
PCT出願を米国に移行する手続として、以下の2つが知られています。
① 通常の国内移行手続(35 U.S.C. 371)
② バイパス出願:PCT出願に基づく継続出願(35 U.S.C. 111(a), 37 C.F.R. 1.53)
両者の主な違いを以下の表にまとめました。米国への移行手続きを選択される際のご参考になれば幸いです。
もし米国への移行時にどちらの手続を選択した方がよいかお悩みの際は弊所までお気軽にご相談ください。
国内移行手続 | バイパス出願 | ||
翻訳文 | literal translation(逐語訳)でなければならないとされています(MPEP 608.01)。 | 日本語の表現に縛られることなく、米国で好ましい表現*、形式に変更することができます。 また、一部継続出願として、PCT出願に記載されていない新規事項を追加することが可能です。 | |
主な庁費用 | 出願人が大規模団体(Large Entity)である場合、基本料、審査料は同一で、調査料は国内移行手続の方が160ドル安くなります。※2023年8月現在 | ||
代理人費用 | 代理人ごとに異なりますが、国内移行手続とバイパス出願で代理人費用の差はあまり大きくありません。 | ||
禁反言 | literal translationの範囲を超えて、米国で好ましい表現*にクレームを変更する自発補正を行う場合には、審査経過による禁反言が生じるおそれがあります。 | バイパス出願時の内容で米国に出願されたことになるため、PCT出願からクレームの表現を変更しても禁反言のリスクが低減されます。 | |
発明の単一性 | PCT(特許協力条約)に基づいて判断されます。 | 米国法に基づいて判断されます。 | |
PCTに比べて米国法の方が発明の単一性の基準が厳しいため、一般的にはバイパス出願の方が限定要求を受けやすいと言われています。ただ、感覚的には両者で違いはありません。 |
*例えば、ミーンズ・プラス・ファンクション・クレームと判断されないようにするために、PCT出願時の表現(機能的記載)を使用せず、米国において好ましい表現(構造的記載)に変更することがあります。