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2024.01.16
外国特許実務
中国
中国の改正実施細則が2024年1月20日より施行されます
中国の改正実施細則が2024年1月20日より施行されます。
今回施行される実施細則は、専利法第4次改正(2021年6月1日施行)に対応したものであり、2020年11月27日に公開された改正案から大きな変更は少ないようです。
なお、改正審査指南も2024年1月20日より施行されます。
改正実施細則について、以下に抜粋して紹介します。
1、出願等の手続き
・15日の郵送期間加算(グレースピリオド)が廃止。(4条)
・要約書の文字数制限(300字以内)が撤廃。(26条)
・正当な理由による優先権回復請求や優先権主張の追加/訂正請求が可能に。(36、37、128条)
・優先権を主張した出願のクレーム又は明細書に記載漏れ等があった場合、基礎出願書面の援用による補充が可能に。(45条)
・新規性喪失例外が適用される学術会議及び技術会議の範囲が、国務院関連主管部門が認可する国際組織が開催する学術会議及び技術会議を含むように拡大され、出願人による立証要件が緩和。(33条)
・外国出願人自ら一部の簡単な手続(先願書類の提出及び手数料納付等)を行うことが可能に。(18条)
2、復審(拒絶査定不服審判)
・審査部による前置審査の義務が撤廃。(旧62条削除)
・請求期間を徒過した場合の権利回復請求が可能に。(6条)
・職権審理が明確化。(67条)
3、特許存続期間補償
・審査遅延による特許期間の補償(PTA)の申請要件等が明確化。(77~79、84条)※1
・新薬関連特許における存続期間の補償の対象や申請要件等が明確化。(80~84条)
※1:このページの下記に別途ご紹介します。
4、意匠・実用新案関連
・部分意匠の出願要件等が規定。(30~35条)
・ハーグ協定に基づく国際意匠出願の要件等が規定。(136~144条)
・実用新案及び意匠の審査範囲に、明らかな進歩性欠如が追加。(50、69条)
・発明及び意匠のみ遅延審査請求が可能であったが(2019年改正審査指南)、実用新案の遅延審査請求も可能に。(56条)
5、その他、信義誠実原則の順守が明確化され、また、職務発明や開放許諾(ライセンス交渉)等についても詳しく規定されました。
改正実施細則の原文はこちら↓
https://www.cnipa.gov.cn/art/2023/12/21/art_98_189197.html
改正審査指南の原文はこちら↓
https://www.cnipa.gov.cn/art/2023/12/21/art_99_189202.html
経過措置(適用時期等)に関する規則の原文はこちら↓
https://www.cnipa.gov.cn/art/2023/12/21/art_74_189199.html
※1:
審査遅延による特許期間補償制度(PTA)の具体的な内容をご紹介します。
【請求要件】
1)2021年6月1日以降に設定登録された特許(発明)であること。
2)出願日より4年、かつ審査請求日より3年経過後に設定登録されたこと。
3)設定登録の公告日から3ヶ月以内に権利者が申請すること。
4)同一出願人による特許及び実用新案の同日出願で実用新案権を放棄したことで登録された特許でないこと。
【補償(補填)される期間】
審査手続における不合理な遅延による日数
=「A-(B+C)」
A:出願日より4年、かつ審査請求日より3年経過した日から設定登録の公告日までの間の日数
B:合理的な遅延日数
C:出願人による不合理な遅延日数
合理的な遅延(B)の例:
・復審段階で補正を行って登録された場合における復審段階で生じた遅延。
・紛争等による手続停止に基づく遅延。
出願人による不合理な遅延(C)の例:
・OAに指定期間内に応答しなかった場合。
・遅延審査を請求した場合。
・援用による補充に基づく遅延。