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2025.04.22
外国特許実務
日本特許実務
審査請求料などの既納料金の返還について
審査請求料などの庁料金を納付したものの、その後権利化不要となった場合、一定の条件下で料金返還(refund)を求めることが可能です。主要国での規定をご紹介します。
【米国】
審査着手前に、出願放棄の宣言書(Petition for Express Abandonment)を提出することで、調査手数料、及び、超過請求項料金(Excess claims fee)の全額返還を受けられます。
※2025年1月19日の規則改定以降、これまで返還の対象となっていなかった国内移行出願が含まれるようになりました。
【ヨーロッパ】
ヨーロッパは、調査料、及び、審査請求料が返還対象です。
① EESR作成開始前
出願取下書(Withdrawal of an application)を提出することで、調査手数料、及び、審査請求料の全額返還を受けられます。
② EESR作成開始後から実体審査開始前
◇EESRに応答しない場合・・・出願取下書を提出しなくても取り下げ擬制となり、審査請求料の全額返還を受けられます。
◇EESRに応答した場合・・・出願取下書を提出することで、審査請求料の全額返還を受けられます。
③ 実体審査開始後から最初のオフィスアクション応答期間内(延長期間含む)
出願取下書を提出することで、審査請求料の1/2の返還を受けられます。
【韓国】
出願取下書又は出願放棄書を提出することで、下記料金の返還を受けることができます。
① 最初のオフィスアクション、または、特許査定の謄本送達前
審査請求料の全額返還
② 最初のオフィスアクションの謄本送達後からオフィスアクション応答期間内(延長期間含む)
審査請求料の1/3の返還
【中国】
出願取下の宣誓書を提出することで、下記料金の返還を受けることができます。
① 実体審査開始通知発行前
審査請求料の全額返還
②実体審査開始通知発行後から最初のオフィスアクション応答期間内
審査請求料の1/2の返還
【台湾】
最初のオフィスアクションが発行される前に、出願取下書を提出することで、審査請求料の全額返還を受けられます。また、再審査段階においては、再審査請求手数料の全額返還を受けられます。
【日本】
最初の拒絶理由通知、または、特許査定の謄本送達前に、出願取下書又は出願放棄書を提出した日から6か月以内に返還請求をすることで、審査請求料の1/2の返還を受けることができます。
※審査請求後にみなし取り下げ扱いとなった場合も返還請求対象であり、この場合、出願取下書又は出願放棄書の提出は不要です。
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条件を満たせば既納料金が返還されるという柔軟な制度ではありますが、一度出願取下請求手続を行うと、その後の状況の変化により権利化の必要が生じた場合であっても、出願取下を撤回し、復活させることは不可能であることにご留意ください。
また、庁料金が比較的安価となる国において料金返還を希望される場合には、返還金と、手続きに掛かる現地代理人及び国内代理人手数料との比較考量をお勧めします。